帯祝い(おびいわい)とは、妊婦の妊娠5か月目にあたる戌の日に、安産を祈願して腹帯を巻く儀式のこと。着帯式とも。帯祝いの帯は岩田帯と呼ばれる。
帯は妊婦の親族から贈られ、着帯の儀式を行った後は親族による共食の祝宴が行われる。この腹帯をした妊婦と共に安産祈願の神社に出向き、安産を祈るのが一般的な形である[]。
期日は妊娠5か月目の戌の日が通例だが地方によって3か月や7か月の場合もある。「呉竹集」に、「女の孕みて肌にする帯なり、五月といふに結ぶなり」とある[]。紅白の布それぞれ8尺を用い、これに「寿」の文字、または神仏祈願の文字を書くこともある。
日本にはあるがヨーロッパや中国などにはない慣習であるといわれる。
『玉葉』治承二年三月十九日の条に「晩に及んで雨降る。[中略]今日、関白、書を送つて云ふ。明日、女房、着帯す可し。」、翌廿日の条に「今日、中務権大輔経家朝臣、関白の使となりて来る。即ち帯を献じたり。白生絹、長さ一丈二尺、六重に折りて之を帖す」とあり、『山槐記』治承二年六月廿八日の条に「中宮御懐妊、五箇月に当る。仍つて、御着帯の事あり。初度なり」とある。
意味づけ・由来
妊婦が帯をしめることには妊娠を外形的に表現して地域共同体(ムラ)に知らしめる儀礼的意味合いがあると考えられる。近世の日本では胎児の間引きが多く行われたが、帯祝いを済ませた児は育てられた。
記録上は昭和37年の調査では妊娠5か月目(地域により3-7か月目と幅がある)の戌の日に腹帯をすることが一般的になっていたが、江戸時代なかばまではそうした習俗はなかったという。戌の日に行う理由としては、犬は安産だからそれにあやかったものという俗説がある。犬は霊界に行き来する霊獣だからという説もある。5か月目には安定期に入り、目立ってきたお腹を保護すると共に「岩のように丈夫な赤ちゃんを」という願いも込められている[]。
現代では白の腹帯を着用することが多い。神聖な色とされる白色の腹帯を纏うことにより、呪術的意味で胎児を保護する意味があるとも考えられる。地方により、紅白二色、黄色、うこん色などの伝統もある。
効果
江戸時代以来、妊婦が腹帯をしめることは母子にとって有害だとする説と無害・有益とする説とがあり、決着がついていない。
医学的にもこの帯を巻くことは意味がある。お腹を保護し、胎児の位置を安定させる効果がある[]。また妊婦たる女性に、自分が妊婦であるということを自覚させ、慎重に動くようになるなどの心理的効果が認められている[]。
関連項目
出典
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