概要
人間の声によって人生の哀歓や悲壮美・崇高美などを聴衆に感じさせる音楽分野である。本来的には西洋音楽の用語であり、器楽に対して人間の声による音楽を指す。
西洋音楽における声楽
歌、歌曲、合唱曲、オペラ、カンタータなど人間の声による音楽であり、しばしば楽器伴奏が加わる。声楽を専攻し、生業としている音楽家を声楽家と呼ぶが、この用語は主にクラシック音楽の歌手を指して用いられる。
なお、人声があってもベートーヴェンの第9交響曲「合唱付き」やグスタフ・マーラーの交響曲のように、関心が器楽的演奏に向けられている場合は声楽曲とはよばない。
声種
声の音域による区別を声種という。現在の声楽における声種としては6つに分けられる。
この他に、カウンターテノール(ファルセットで女声の音域を歌う男性歌手)、ソプラニスタ(ソプラノの音域の声をもつ男性歌手)、変声期前のソプラノの音域を歌う少年の声としてボーイソプラノがある。
また、16世紀中頃から18世紀にはカストラート(少年期の声を保つために去勢した男性歌手)がいた。代表的な歌手としてファリネッリ(Farinelli 1705-1782)が挙げられる。
声質による分類
同じソプラノでも、声質や性格によってさらに細かく分類される。同じように、メッゾ・ソプラノ、アルト、テノール、バリトン、バスも細かく分類される。これは、オペラにおいてこれまでに様々な役が登場し、それぞれの役によって歌う音域・声質・必要なテクニックが大きく違ってきているため、細かく分類する必要が出てきたと考えられる。
伝統的な日本音楽における声楽
声楽は、伝統的な日本音楽(邦楽)において、その大部分を占めている。日本音楽における声楽は、「歌いもの」と「語りもの」に大きく分けられる。
「歌いもの」は、旋律やリズムなど、その音楽的要素が重視される楽曲であるのに対し、「語りもの」は詞章が何らかの物語性をもつ楽曲であり、語られる内容表現に重点が置かれる音楽である。